東日本大震災(東北関東大震災)

 3月11日(金)15時前。会社の車をラジオを聴きながら運転していたら、急に緊急地震警報に切り替わった。東北地方で大きな地震が発生したから、地震に備えろというものだった。国会中継から地震速報に切り替わって迷惑だな、と思っていたら、東京?のスタジオも揺れ始めたらしく、緊張したスタジオの生々しい状態が伝わってきた。直ぐに津波警報が発表され、避難を呼びかける放送が始まった。各地の津波到達予想時刻が放送され、何度も繰り返し、避難を呼びかけていた。この状態から相当大きな地震が発生したのだろうと思った。

 会社に帰ると大きな地震が発生したとの情報はあったが、まだ、被害の詳細は明確ではなかった。家に帰ってテレビを見ると大津波が畑のハウスなどを飲み込みながら陸地を遡上している映像が映し出されていた。津波については、誰だか作者は忘れたが、東北地方の太平洋岸が何度も被害をこうむっていることを小説で読んだことがある。それにしても今回の津波は海岸から陸上に最大で6kmまで登ってきたというから凄い。私の家が玄界灘から約9km。津波で絶対に避難することはないと思うが、もう少し大きな地震が来たら逃げる必要があるのかもしれない。

 津波警報は、相当大きな津波が来ると繰り返し警告したので、その緊張感が伝わってきた。住民が裏山にでも早く逃げることを願っていたが、ハウス栽培のハウスを飲み込みながら進む津波をテレビで見ていたら、そこは逃げるような高台のない平地のように見受けられた。車を持っている人間ならまだしも徒歩で逃げるのは無理であろうと思った。

 1771年の八重山地震ではその津波により巨岩が島に打ち上げられたらしい。その岩は、津波岩と呼ばれている。その時の津波の高さは、諸説あるらしいが、最大波高は40mとも言われている。記憶は薄れたが、沖縄地方の海底には過去の巨大津波で運ばれた巨岩が沈んでいて、その巨岩を運ぶに要するエネルギーから津波の波高を計算すると約100mになるということだった。今回の津波の高さは、大船渡市三陸町綾里で23メートルに達していたらしいが、過去にも将来にもさらに数倍大きな津波が存在するのである。

 12日から中国に出張した。中国でも連日テレビで日本の地震を報道していた。福島第一原発の非常用ディーゼル発電機が作動せずに大事態に陥った。話しは飛ぶが、色々調べていたらアメリカの原子力規制委員会が20年前に地震時の非常用発電機の破損等による事故のリスクを公表しており、日本政府もそれを知っていたという。11日の時点でメルトダウンの危険性を指摘する声もあったが、そんな事はないだろうと思っていた。ところが日に日に事態は悪化した。

 水位低下により12日に1号機の燃料棒が一部露出、水素爆発で建屋を損壊。3号機は13日に同様に燃料棒の一部が露出して14日に水素爆発。2号機は14日に燃料棒が全部露出して15日に爆発して圧力抑制室を損傷。3、4号機は使用済み核燃料貯蔵プールが発熱し始めて、17日から3号機に自衛隊などによる放水を始めた。自衛隊のヘリコプターが海水を上空から投下したが、放射線レベルが高くて近づくこともホバリングもできず、高空からの投下となった。

 現在は、電源を引き込んで計器とポンプの復旧を目指すと同時に地上からの放水を行っている。原子力発電は非常に高度な技術を使っていると勝手に考えていたが、使い終わったまだ発熱している燃料棒を水槽に漬けて冷却するなど小学生でも考えるような単純な原理を使っているのだと分かった。原子力は安全だ、安全だと言っていたが、海岸沿いに作っているにもかかわらず、津波に全く備えていないことも分かった。20年前にアメリカの原子力規制委員会から地震時のリスクを指摘されていたにもかかわらず東電も日本政府も全く対応していなかったことも分かった。

 多分、日本は原発を止めることは出来ないだろうと思う。しかし、安全だ、安全だと国民を騙し続けて、まともな手を打たなかった電力各社と自民党の責任は思い。今回の津波による原発事故は予想も出来ない天災ではなく、人災だと思う。

 20日現在で死亡8450人、安否不明18432人、避難338000人と報道されている。
 亡くなった方達は本当に不運だと思う。68歳の消防団の人が、地震発生と同時に水門を閉めるか、避難するかで迷ったが、家族を置いて水門を閉め、裏山に登って助かったが、帰ってみると奥さんも子供夫婦も孫もだったか、家の二階で皆亡くなっていたという。亡くなった人もかわいそうだが、残った人もかわいそうだと思う。この消防団のおじいさんは残りの人生をどうやって生きていくのだろうと思う。

 放射線を浴びながら原子力発電所の事故対応を行っている自衛隊、消防、それから電源を引いたり、機能停止した機械の復旧を試みている民間の方達には頭が下がる。こういう仕事には、今から結婚したり、子供を作ったりする若い人は就かせるべきではないと個人的には思うが、実態はどうであろう。日本人は真面目でいざとなれば特攻精神を現在でも持ち合わせていると思うので、無理をして欲しくないと思う。放射線障害は後になって現れるので冷静に合理的に対応して欲しいと思う。国は、万が一今回の原発復旧に携わって、後々障害が出た場合には、その人と家族の面倒を一生みるべきである

 被災された方には申し訳ないが、今回の事故で日本は一体感を持つことができたような気がする。ただ、今から復興の苦しみが始まるのだろうと思う。復興の苦しみとは、正に全国民が共有する苦しみになるのではないかと思う。国のまともな税収は少ないので、全国の地方予算は節約して復興にまわす必要がある。地方の中小企業には厳しい季節が来るだろう。特に官庁に依存する企業には。国債もどんどん発行するだろう。国民の金融資産で国債を買うとして残り400兆円。後5年から8年で日本も破産か。日本が破産したときの対策は、既にIMF(国際通貨基金)が作ってくれているようなので安心して破綻できる。

 被災者には優しいが、ワーキングプアやホームレスには厳しい目を向ける日本人。国が破綻して、全国民がホームレス状態になれば、皆平等でよい。こんな暗い事ばかり考える自分は、相当鬱が進行しているのかもしれない。

 東日本大震災。日本の経済破綻を確実なものにする出来事かもしれない。

(2011年3月21日 記)

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